投稿日:2025年4月14日
新たなニーズへの対応や機能向上のために、新機種の開発に取り組んでいる企業がほとんどだと思います。一方で、過去に設計された既存機種に対する意識は、どうしても薄れがちではないでしょうか。既存機種を見直すことで、トラブルの未然防止だけでなく、組立までのサイクルタイムの削減にもつながります。
例えば、以下のようなケースは決して珍しくありません。
部品加工現場で実施された工法転換や材料変更が設計に伝達されず、転注時に図面との不整合が発覚する。
ユニットごとに担当者が異なり、それぞれの部分的な最新情報が共有されておらず、結果として装置全体が組み上がらない。
長年採用してきた部品の廃盤や材料の入手不可に、転注を検討する段階になって初めて気づく。
これらのケースは一見些細に思えるかもしれませんが、無駄なコストの発生や納期の延長につながる可能性を秘めています。そして、これらの問題を解決するためには、既存機種を「正しく把握する」ということが重要になります。
既存図面の見直しでコスト削減・機能向上につながる
昨今、多くの企業でコストダウンの要求が高まっています。当社は、コストダウンには既存機種の図面の徹底的な見直しが最も有効な手段の一つだと考えています。最新の技術や材料を積極的に取り入れることで、コストメリットだけでなく、製品の機能向上も期待できます。
事例①:図面の一元管理による効率化
既存装置の図面には手作業が必要な工程が多く残っており、熟練技術を要する設計となっていました。また、部品調達も熟練作業員任せになっていたため、統一性がなく、無駄なコストアップや仕上がりのばらつきが生じていました。そこで、当社は設計から組立までの全工程を見直し、全て図面に落としこむことで、機種ごとの差異のない装置製作を実現しました。その結果、以前は1人の職人が月産10台製造していた機種を、現在では当社で月産30台の製造が可能となりました。
事例②:図面見直しによる製品の機能向上とコストダウン
長年製造されてきた装置の転注についてご相談を受け、既存の図面通りに製造・組立を行ったところ、どうしても組み上がらないという問題が発生しました。当社にて既存図面を精査した結果、構造上組み立てが不可能な内容であることが判明しました。そこで当社は、部品の材質変更、コスト低減を目的とした設計見直し、さらには構造全体の改定を提案しました。その結果、従来の装置と比べて、ユーザーにとって操作性が向上し、耐荷重性能も強化された装置へと生まれ変わりました。
事例③:メンテナンスのしやすさを考慮した設計変更
既存機種の中には、メンテナンス性が十分に考慮されていない設計も見受けられます。例えば、部品の取り付け時に六角レンチが入らず、僅かな隙間から無理に手を入れて作業を行う必要がありました。結果として、ボルトを緩めてフランジを取り外す作業に多大な手間がかかっていました。ただ保有する同装置数が多数になると、この交換方法では非常に工数がかかる仕様でした。そこで当社は、締結作業を考慮した設計へと変更することで、メンテナンス時間を約1時間短縮することに成功しました。
まとめ
装置が問題なく稼働しているからといって、安心してしまうこともあるかもしれません。しかし、図面の見直しを怠ることは、将来的なリスクの増大につながります。もし、製品にトラブルが発生した場合、最新かつ正確な図面がなければ、迅速な原因究明と対策が困難になります。また、設計から組立までの各工程において、図面が最新情報に更新されていなければ、サイクルタイムの削減は期待できません。
この機会にぜひ、既存機種の図面を改めて見直し、リビジョン管理の徹底をご検討されてはいかがでしょうか。当社は、長年にわたる経験と装置開発実績を活かし、貴社の装置開発における様々な課題の解決に貢献できると確信しております。もし、既存機種の見直しや設計に関するご相談がございましたら、お気軽にご連絡ください。