高機能装置は、製品品質の安定化、コスト低減など、多大な恩恵をもたらします。しかし、高精度な部品や複雑な構造を単純に組み合わせるだけでは、真の機能性向上は実現できません。装置が最大限の性能を発揮するためには、最適設計という視点が不可欠です。これは、お客様からご提示いただいた図面をそのまま具現化するだけでなく、要求される機能を確実に達成できるよう、装置構造、部品素材、部品精度などを総合的に検討し、最適なバランスを追求することが重要です。そこで今回は、少しでも機能性を向上させるために、当社が装置設計段階で着目している点を紹介いたします。

①部品同士の相性を検討する

例えば、アルミ部品をSUSネジで締結する場合、電気化学的性質の違いによって、異種金属接触腐食を起こし、ネジと部品の間に腐食生成物が堆積・固着してしまいます。ネジを無理に回そうとすると、ネジ山を破損させる原因となります。そのため、異種金属同士で締結する場合は、脱着頻度が少ない箇所を選択します。これにより、ネジ山の破損を防げることはもちろんのこと、腐食による固着を逆手に取り、緩み止めとして活用することも可能です。

②多機能を盛り込んだ部品図面を心掛ける

部品図面は一つの部品に複数の機能を持たせるよう設計することで、部品点数を削減できる場合があります。部品点数の削減によって、装置の軽量化や組立工数の簡素化につながります。ただし、部品の多機能化を進める上では、強度解析や他の部品との干渉を確認しながら、進めることが重要になります。

③部品材料の特性を確認する

全ての材料に特性があるため、使用される環境に合わせて、材料を選択する必要があります。例えば、摺動部分で使用される部品は、耐摩耗性に優れた材料を使用することで、部品の寿命を延ばし、交換頻度を減らすことができます。その他にも、SS400は巣が発生するから使用しないというケースがありますが、これは誤りです。SS400は引張力400を満たす材料のことを指しており、切り取る場所によっては巣が発生させないことも可能です。このように、材料の成分表を基に、何が入っているかを把握し、どの材料が適しているのかを判断することが重要になります。

④部品加工はプロの意見を聞く

異材同士は溶接できないと認識されています場合がありますが、材料の組み合わせや溶接方法を適切に選択することにより、強固な接合を実現できる場合があります。例えば、SUS304とSS400は、異材溶接が可能です。装置設計の専門家であっても、部品加工に関する深い知識をお持ちでない場合があります。そのため、部品加工のプロの意見を参考に、最適な設計を行うことが重要です。

まとめ

今回挙げた4つ以外にも、当社は様々な視点から改善提案を行うことができます。当社の強みは、材料や購入品の手配に始まり、部品加工から電装・組立・調整・据付、そしてお客様への納品まで、装置を一貫生産することが出来ることです。この強みを持った当社がお客様のDRに参加し、積極的に意見交換することで、更なる品質向上、コストダウンを実現できる可能性があります。新規装置の設計はもちろん、既存装置の改良についても、お気軽にご相談ください。